Large-scale CO J = 1–0 observations of the giant molecular cloud associated with the infrared ring N35 with the Nobeyama 45 m telescope
We report an observational study of the giant molecular cloud (GMC) associated with the Galactic infrared ring-like structure N35 and two nearby H ii regions G024.392+00.072 (H ii region A) and G024.510−00.060 (H ii region B), using the new CO J = 1–0 data obtained as a part of the FOREST Unbiased Galactic Plane Imaging survey with the Nobeyama 45 m telescope (FUGIN) project at a spatial resolution of 21″. Our CO data reveals that the GMC, with a total molecular mass of 2.1 × 106 M⊙, has two velocity components of over ∼10–15 km s−1. The majority of molecular gas in the GMC is included in the lower-velocity component (LVC) at ∼110–114 km s−1, while the higher-velocity components (HVCs) at ∼118–126 km s−1 consist of three smaller molecular clouds which are located near the three H ii regions. The LVC and HVCs show spatially complementary distributions along the line-of-sight, despite large velocity separations of ∼5–15 km s−1, and are connected in velocity by the CO emission with intermediate intensities. By comparing the observations with simulations, we discuss a scenario where collisions of the three HVCs with the LVC at velocities of ∼10–15 km s−1 can provide an interpretation of these two observational signatures. The intermediate-velocity features between the LVC and HVCs can be understood as broad bridge features, which indicate the turbulent motion of the gas at the collision interfaces, while the spatially complementary distributions represent the cavities created in the LVC by the HVCs through the collisions. Our model indicates that the three H ii regions were formed after the onset of the collisions, and it is therefore suggested that the high-mass star formation in the GMC was triggered by the collisions.
Memo
- 全球規模の数値計算によると、天の川銀河(MW)に似た銀河では、CCCs は∼10 Myrごとという頻度で起こり得ることが示されている(Tasker & Tan 2009;Dobbs et al. 2015)
- 赤外リング状構造N35とその近傍H II領域は同一GMCに属し、距離8.8 kpc、N35サイズ約18 pc、赤外光度∼10^6.7 L⊙である
- 速度105–125 km s⁻¹においてN35およびH II領域A・Bに対応するCO放射が顕著な、サイズ約30 pc × 50 pcのGMC(N35 GMC)が同定され、その東縁にはN35やH II領域A・Bと空間的に対応する南北方向の高強度リッジ構造と広範な高密度ガス(C¹⁸O)が存在することが示された
- 経度–速度図から、N35西側およびH ii領域A周辺では顕著な速度勾配が確認され、特にH ii領域Aでは反転V字型の速度分布を示す連続的なCO放射が見られる
- H ii領域B周辺には明確な速度勾配はないものの、110 km s⁻¹成分と中間速度の拡散的CO放射で結ばれたコンパクトな高速度成分が存在し、これらの結果からN35 GMCは複数の速度成分が中間速度放射によって相互に接続された構造を持つことが示唆される
- 速度チャンネルマップから、N35 GMCの分子ガスの大部分は108–114 km s⁻¹の低速度成分に含まれる一方、118–128 km s⁻¹の高速度成分にはN35およびH ii領域B南西に対応する複数の分子ガス成分(PV図で見られた速度勾配やコンパクト放射に対応)が存在することが示された
- 低速度成分(LVC)と高速度成分(HVCs)は相補的な空間分布を示し、その境界付近に急激な速度勾配が存在することから、両速度成分の相互作用を示唆する構造が一貫して確認される
- モーメント解析から、HVC 1はほぼ一様な速度、HVC 2は形状に沿った速度勾配を示す一方、HVCs周辺には3 km s⁻¹を超える大きな速度幅をもつ中間速度成分が存在し、これは熱運動では説明できない強い乱流がLVCとHVCsを結び付けていることを示している
- N35周辺にて、LVCはフィラメントNW・SWを取り囲み、HVC 1はSWフィラメント中の8 µm輝点やCH₃OHメーザー源と対応する弓状構造を示すことから、LVCとHVC 1はN35と物理的に結び付いて相互作用しており、その結果として活発な星形成が生じていることが示唆される
- H ii領域AではLVCが8 µm放射や曲状構造、CH₃OHメーザーと対応して分布し、中間速度成分はA2を中心とした広がりや直線状構造を示す一方、HVC 2は南西方向に伸びてA2付近でピークを持ち、LVCに囲まれる相補的分布と速度的連結が確認されることから、LVCとHVC 2の物理的相互作用が強く示唆される
- H ii領域B周辺ではLVCが半径約6 pcのリング状構造を示し、その縁にCH₃OHメーザーを伴う星形成ガスが存在する一方、半径約3 pcのHVC 3はリング内側と相補的に分布してSpitzer赤色天体と対応し、両者は中間速度成分を介して速度的に分離・連結されていることから、LVCとHVC 3の物理的関係と星形成活動が示唆される
- CCCでは速度的に分離した二つの分子雲の間に、中間速度をもつ低強度のガス成分が位置–速度図上で連続的にブリッジ構造として現れ、これは雲同士の衝突によって形成された圧縮・乱流層が観測されていることを示す典型的な兆候である
- CCCでは小さい分子雲が大きい分子雲に衝突・貫入することで大きい雲内に空洞が形成され、視線方向が衝突軸にほぼ平行な場合には、大きい雲が小さい雲の大きさに対応した内半径をもつリング状構造として観測され、両者が相補的な空間分布を示す
- CCCによって大きい雲に形成された空洞が位置–速度図上では強度の落ち込みとして現れ、その結果として二つの雲の速度成分を結ぶ逆V字型のガス分布と、その両側に対応する速度勾配が観測される
- N35 GMCにおけるLVCと3つのHVCsの相補的分布、リング/空洞状構造、そして中間速度成分や逆V字型に対応する速度勾配を、視線方向にほぼ平行な相対運動をもつ大規模GMCと複数の小規模雲(HVCs)とのCCCによって形成された空洞と乱流層として一貫して解釈できることから、観測されたガス分布と速度構造はCCCシナリオを強く支持する
- 衝突の減速で貫入の可否は不確実であるものの、N35 GMCの脱出速度がLVC–HVC間の速度差を大きく上回ることから両者は重力的に束縛され、将来的には単一のGMCへと合体すると考えられる
- N35 GMCにおける雲―雲衝突が高質量星形成を引き起こしたかを検証するために、リッジ構造から見積もった平均ガス密度(約2100–3200 cm⁻³)を用いてD型膨張モデルに基づきH ii領域の形成時間を評価し、CCCの衝突時間スケールと比較しようとしている
- N35、A1、A2、Bはいずれも≲1 Myr 程度の若いH ii領域であり、特にN35については周囲密度を低く仮定することで他のH ii領域と同程度の年齢が得られ、CCCによる星形成トリガーと時間的に整合することが示された
- N35 GMCにおいてLVCと複数のHVCsとのCCCが約1 Myr以内に開始され、その衝突界面で形成された高密度層において短時間(∼0.1 Myr)で高質量星が誕生し、現在もブロードブリッジ構造やメーザー・赤色天体が示すように衝突が継続しているため、将来にわたってさらなる高質量星形成が誘発される可能性が高いと結論づけられる