HOW MANY INFRARED DARK CLOUDS CAN FORM MASSIVE STARS AND CLUSTERS?
We present a new assessment of the ability of Infrared Dark Clouds (IRDCs) to form massive stars and clusters. This is done by comparison with an empirical mass–size threshold for massive star formation (MSF). We establish m(r)>870 M☉(r/pc)1.33 as a novel approximate MSF limit, based on clouds with and without MSF. Many IRDCs, if not most, fall short of this threshold. Without significant evolution, such clouds are unlikely MSF candidates. This provides a first quantitative assessment of the small number of IRDCs evolving toward MSF. IRDCs below this limit might still form stars and clusters of up to intermediate mass, though (like, e.g., the Ophiuchus and Perseus Molecular Clouds). Nevertheless, a major fraction of the mass contained in IRDCs might reside in few 102 clouds sustaining MSF.
Memo
- 従来の星形成研究は近傍分子雲の構造を各スケールごとに個別分析してきたため、コアと周囲の環境の密度相関は依然として不明確であり、その根幹とされるLarson third lawが最新の観測データと整合するかどうかも再検証が必要な状況にある
- デンドログラム解析を用いて、分子雲内の柱密度マップから局所的なピークを起点に入れ子状の構造を抽出し、分解能やノイズによる制約を設けた上で、各構造の質量とサイズの相関を系統的に算出した
- 分子雲の質量とサイズの相関をべき乗則でモデル化し、広域的な構造変化を示す『グローバル・スロープ』と、特定のスケールにおける局所的な変化を示す『接線スロープ』という2つの指標を用いて、スケールを跨いだ物理的特性を定量化した
- 大質量星を形成しない分子雲では、半径0.01 pcから10 pcの全域にわたり、各構造の質量が M(r) = 870 r^1.33 という共通の経験則を上限として分布している
- 大質量星を形成するオリオン座AやG10といった分子雲は、上式を最大10倍程度上回る質量のフラグメントを含んでおり、この限界値を突破する構造の有無が大質量星を形成できるかどうかの物理的な指標となる可能性が示唆された
- 太陽系近傍の分子雲において、半径1pc以上の大きなスケールではラーソンの法則に近い共通の質量構造 M(r) = 400 r^1.7 が認められるものの、全スケールを記述できる単一の法則は存在せず、その普遍性も近傍領域に限定される可能性がある
- ペルセウス座やへびつかい座の分子雲において、クラスター形成領域(NGC 1333、L1688、IC348など)を包含するフラグメントは、小スケールから大スケールまで、常に分子雲内で最も質量が大きな支配的構造として存在している
- クラスター形成領域(L1688、オリオン座Aなど)を持つフラグメントは、そうでない雲(おうし座、パイプ星雲)と比較して同等の半径において一貫して大きな質量を持つ傾向にある
- 半径5pc(雲全体)と0.05pc(星形成領域)を繋ぐグローバルスロープの傾きとして平均1.27という値が得られ、これによって大スケールの質量から内部の星形成条件を推定できる可能性が示唆された
- 接線スロープの解析により、多くの分子雲において半径 0.5 pc 付近を境に『拡散した雲の構造』から『自己重力的なコア』へと物理的に転換する様子が描き出されたが、へびつかい座のように両者の境界が連続的で判別できない例外も確認された
- Larson third lawは、大スケールでは依然として有効な指標であるものの、最新のマップが描き出す複雑な内部構造や個別の雲の特異性を捉えるには不十分であり、より多角的な解析手法による詳細な記述が必要である
- 星形成には高い柱密度が必要であるという従来の『しきい値』の概念に対し、本研究は、高密度状態そのものが原因ではなく、雲がいかに効率的に質量を狭い領域に集中させるかという構造的プロセスの結果として星形成が起こることを示唆している (雲同士は大スケールだと類似した傾向を示しながらも、内部の小スケールに差が見られたことから、星形成の成否は「雲全体の質量」が決めるのではなく、その質量をいかに効率よく「少数のフラグメントへ集中させ、狭い体積に詰め込めるか」という能力にかかっている)
- ポリトロピックな球体・円筒モデルと観測値を比較検証した結果、視線方向に平行な円筒や単純な等温モデルでは観測された急な傾きを説明できないが、乱流圧(γ_P = 1/2)に支配された球体や側面から見た円筒モデルであれば、観測される b > 1 の質量-サイズ関係を良好に再現できることが判明した
- 質量-サイズ関係の切片から雲の重力崩壊に対する安定性を見積もる限界質量の基準を等温平衡球の典型である高密度コアB68の観測データに適用した結果、理論モデルの予測と実際の質量・サイズが完全に一致することが実証された
- 質量-サイズ関係の傾きから真の密度勾配を直感的に推定するための指標を導入し、観測データに適用した結果、対象領域の密度勾配は概ね1から2の範囲に収まることが示され、これはStüwe (1990)の大スケールでの研究結果と一致する