GIANT MOLECULAR CLOUDS IN THE SPIRAL ARM OF IC 342
We present results of 12CO (1–0) and 13CO (1–0) observations of the northeastern spiral arm segment of IC 342 with a ∼50 pc resolution carried out with the Nobeyama Millimeter Array. Zero-spacing components were recovered by combining with existing data taken with the Nobeyama 45 m telescope. The principal objective of this study is to investigate the variation of cloud properties across the spiral arm with a resolution comparable to the size of giant molecular clouds (GMCs). The observations cover a 1 kpc × 1.5 kpc region located ∼2 kpc away from the galactic center, where a giant molecular association is located at the trailing side and associated star-forming regions at the leading side. The spiral arm segment was resolved into a number of clouds, whose size, temperature, and surface mass density are comparable to typical GMCs in the Galaxy. Twenty-six clouds were identified from the combined data cube, and the identified clouds followed the linewidth–size relation of Galactic GMCs. The identified GMCs were divided into two categories according to whether they are associated with star formation activity or not. Comparison between the two categories indicated that the active GMCs are more massive, have smaller line width, and are closer to virial equilibrium than the quiescent GMCs. These variations of the GMCs' properties suggest that dissipation of excess kinetic energy of GMCs is a required condition for the onset of massive star formation.
Memo
- IC 342は、近傍の渦巻銀河であり、棒状構造の運動学による物質供給とスターバースト活動のフィードバック、および密度波が分子雲に与える影響を詳細に研究できる対象である
- IC 342にあるgiant molecular assosiation(GMA)の観測において、12COの分布特性は観測領域の南北で顕著に異なり、南部では狭いリッジ構造に集中しているのに対し、北部ではより広がった分布を示している
- 12COと13COのピーク位置は、観測領域の南部では一致しているが、北部では13COの分布が12COから大きく逸脱し、Point 3付近では12COに対応する明確な13COの放射源が欠如している
- 12CO分布と星形成領域(Hα、8μm、24μm)の空間的相関を比較した結果、南部では両者が密接に関連しているのに対し、北部(特にGMA中心のPoint 3付近)では星形成活動がほとんど見られないことが分かった
- NMAと45m望遠鏡の合体データに対し、S/N比に基づいたCLUMPFINDアルゴリズムを適用することで、最終的に26個のGMCを同定した
- 12CO画像と星形成トレーサーの比較により、同定されたGMCは、星形成活動の有無に基づいて「wHII(HII領域を伴う)」と「woHII(HII領域を伴わない)」の2つのグループに分類された
- GMCの空間分布により、銀河の密度波理論から予測される通り、woHII GMCが上流に、wHII GMCが下流に位置していることが示された
- R_13/12輝度比は、離散的で高密度な構造を持つ南部(約0.16)に比べて、北部やGMA中心部(約0.06)では著しく低いことから、そこではGMAが拡散したガス成分に支配されていることが分かった
- 星形成を伴うwHII GMCではR_13/12輝度比が高くなる一方で、星形成を伴わないwoHII GMCでは輝度比が低くなる傾向があり、この差は温度や元素組成の変動ではなく、woHII GMCにおいて高密度なクラウドコアの割合が低く、拡散した分子ガス成分が支配的であることを示している
- woHII GMCはwHII GMCに比べて、同じサイズでも速度幅が広く、かつ光度質量に対するビリアル質量の比率が大きいことから、より重力的に束縛されていない状態にあることが示された
- woHII GMCとwHII GMCでは半径に差はないが、woHII GMCの方が速度幅が広く質量が小さい傾向にあり、渦状腕上流側の分子雲が下流側へ移動するにつれて重力的に束縛された大質量な雲へと進化していることが示された
- ビリアルパラメータプロットから、GMCの重力的な束縛状態を決定付ける主因は内部の乱流運動であり、渦巻腕の通過に伴う乱流の逸散がその後の大質量星形成を誘発していることが示唆された
- IC 342の渦巻腕におけるGMCは、中性水素(HI)ガスではなく、腕間領域に元々存在していた小型の分子雲が集合・成長することで形成された可能性が高い
- GMCの成長を支えるメカニズムとして、小型分子雲同士の「ランダムな合体(Random coalescence)」が考えられ、低いピーク輝度温度や重力的束縛の弱さから、woHII GMCはその合体過程における中間段階にあると考えられる
- 渦巻腕における雲の衝突は非弾性的であり、運動エネルギーが熱に変換・放射されることで、衝突後の雲のランダムな速度が低下し密度が上昇することが数値シミュレーションと本研究の結果から示された
- 渦巻腕における分子雲の成長シナリオは、腕間領域の小型分子雲が流線の収束によって集積し、非弾性衝突による運動エネルギーの散逸を経て、重力的に強く束縛された大質量なGMCへと進化する過程としてまとめられる
- 分子雲の進化には雲同士の衝突による合体が関わっているが、大質量星形成の開始には単なる衝突だけでなく、重力束縛が強い状態にあることなど、雲自体の物性進化が不可欠である